イデア
甫芽に連れられ,汀紗の入院している病院へと赴いた。

汀紗を始めてみた日の事を思い出す。


『瀬戸汀紗の事?ああ…来てるよ。』

あの日,昼休みなのに『来てる』と言っていた。

つまり,今までは来ていなかった。


…休学してたんだ。





あの日汀紗の机にノートがあった。


私が甫芽に書いたノート。




甫芽は,汀紗の為に私に近づいたんだ。








ギュッと唇に歯を当て噛みしめた。
口の中は血の味がした。
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