イデア
「じゃあさ,」

彼の綺麗な瞳が私を捕らえて言う。

「比奈ちゃんも俺に勉強教えてよ?」


挑発するような,悩ましげな,そんな不思議な色をした瞳だった。


それが彼の一番の武器なのだろうか。
私は陶酔したかの様に彼の言葉を飲み込んだ。
そして言葉を返す。私の気持ちを交えて。


「いいよ…その代わり私のこと比奈って呼んで。
…呼び捨て出来るくらい仲良い人じゃないと教えるの嫌。」


二言目は,私の強がり。
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