光の少女Ⅱ【救出編】

「おい!どうした!お前達!」

「ふっ、・・・くくくっ・・・」


戸惑ったように声を上げる大臣に、風夜が肩を震わせ笑い始める。


「無駄だ。そいつらと俺とでは、格が違う」

「風・・・夜?」


言って顔を上げた風夜の両目は紅く染まっている。

目の色だけでなく、雰囲気もいつもと違い、圧力を掛けられているようにも感じる。

それに花音達が戸惑っている間にも、状況は変わっていく。


「・・・せっかくだ。格の違いを見せてやるよ!」


言葉と同時に、風夜の動きを封じていた魔族達が吹き飛ばされ、彼の魔力が周囲へ広がっていくのがわかった。

「「!?」」

「何だ?この力は・・・」


光の街では考えられない禍々しい力が広がっていくのを感じ、光輝が呟く。


「空兄様、何か怖いよ」

「・・・なんて禍々しい力なの」

「この力、窮姫達と同じ・・・、いや、下手したらそれ以上だ」

「ちょっと!そんなのが神蘭達がいない隙に入ってきたっていうの!」


紫影の言葉に、琴音が声を上げる。


「もう、花音ちゃん達もいない時に・・・、どうするの?」

「どうするもこうするも、行くしかないだろ」

「行ってみないと、何もわからないしな」

「えー!」


凍矢と刹那に言われ、美咲が嫌そうな声を上げる。


「この魔力・・・、まさか・・・」

「空兄様?」

「・・・いや、何でもない。きっと俺の気のせいだ」

「?」


力の発生源へ視線を向けて呟いた空夜は、声を掛けてきた風華にそう返し、首を振った。


「おい、見ろ!」

「何だよ、あれ・・・」


その頃、闇の国の城にいた夜天と雷牙も、光の街での異変には気付いていた。


「何だって、あの街からあんな魔力が・・・」

「っ・・・、戻るぞ」

「はっ?戻るって」

「光の街にだ!・・・何だか、嫌な予感がする」


そう言って、夜天は雷牙より先に踵を返した。
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