光の少女Ⅱ【救出編】

「もうやめて!」

「・・・花音、何故お前が止めるんだ?」

「何故って、今ここにいるのは皆、魔族じゃない。何処かの国の兵士なんだよ!だから・・・」

「それがどうした?」

「えっ?」


冷たい声に、言葉を止める。


「そいつらが誰だろうが、関係ない。そこをどけ!」

「風夜!」

「いくらお前でも、俺の邪魔をするのは許さない!」

「!!・・・きゃああぁ!」


まずいと思った時には、花音の身体は強い力で吹っ飛ばされる。


「姉上!」


地に叩き付けられる寸前、光輝の声がして、身体を抱え込まれた気がした。


「・・・っ・・・、姉上!大丈夫か?」


地面に叩き付けられる痛みの代わりに、誰かが息を詰めるような音と光輝の声がする。

見ると、光輝にしっかりと抱き止められていて、彼のお陰で叩き付けられずにすんだようだった。


「一体、何が起きて・・・。あいつ、どうしたんだ?」


倒れている兵士に、状況がわからず辺りを見回していた凍矢が風夜を見て呟く。


「わかんない。急に様子が」

「お父様!!」

「父上!」


説明しようとした花音の言葉を遮るように、風華と空夜の声がして、二人が倒れている王へ駆け寄っていく。


「お父様!お父様・・・、ねぇ、起きてよ・・・」


呼び掛けに反応しない王に、風華の声が段々涙声になっていく。

もう手遅れだとわかったらしい空夜は、ただ辛そうに目を逸らせていた。
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