光の少女Ⅱ【救出編】
「俺は・・・」
呟いて辺りを見回す風夜からは、先程まであった強い殺気や、禍々しいものは感じない。
周りの状態や花音達に気付いて、向けられた目はいつもの色を取り戻していた。
「・・・これは、一体・・・」
「・・・覚えてないのか?」
「えっ?」
「・・・いや、覚えてなくてよかったのかもな」
風夜に普段と変わらない態度で話し掛けた夜天がそう言った時、大臣の笑い声が聞こえてきた。
「あーはっはっ」
「!!」
「何も覚えていない?これだけの被害を出しておいて、何も覚えていないと?・・・なら、教えてさしあげましょう」
言って、大臣は倒れている兵士達を指す。
「そこにいる兵士達、彼等の命を奪ったのは貴方ですよ、風夜様」
「!!」
「それだけじゃない。今、ここにいる者も、別行動をとっていた者達以外は、貴方に殺されかけたのです」
「・・・!!」
それを信じられないというように、風夜が周りの者を見回すが、同じように状況をよく掴めていないらしい夜天と雷牙以外はほとんどの者が目を逸らせた。
「ははは、まさか王族に魔族の血が混じっていたとは・・・。だが、それが明らかになった以上、もう貴方は王族ではない。ただの虐殺・・・」
そこまで言って、大臣が言葉を止める。その頬を何かが掠り、一本の傷が出来た。