光の少女Ⅱ【救出編】
第7章 離別
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風夜の暴走騒ぎから一夜明け、光輝達が後始末に追われている間、花音は王が使っていた部屋に来ていた。
「えっと・・・、これのことかな?」
王の少ない荷物から、古びた一冊の本を取り出す。
表紙に何も書かれていないその本は、王から風夜の血について聞いた時に、もしもの時の為と教えられていたものだった。
(何代か前の王と夫婦になった魔族の女性が、自分の血を強く引き継いでしまった子孫に遺したものだって言ってたけど)
そう思いながら、中を確認しようとした時、部屋の扉が開いた。
「ここにいたのか?」
「紫影くん?」
「お前はいいのか?」
「えっ?」
問い掛けられ、なんのことかわからず首を傾げる。
「風の国の王に別れを告げなくていいのか?」
そう言われ、花音は慌てて部屋を飛び出した。
「ありがとうね、光輝」
街の一角。即席とは思えない立派な墓が建てられるのを見ながら、隣にいる光輝に花音は言う。
「いや、姉上が世話になった人だ。このくらいはしないとな。・・・本当なら、見知らぬ土地ではなく、自国で眠りたかっただろうが」
言って、疲れたように溜め息をつく。
彼の目の下には薄くだが隈が出来ていて、騒ぎの後始末の為、休めていないのがわかった。
「大丈夫?少し休んだ方がいいんじゃない?」
「いや、まだやることがあるんだ。あの大勢の兵士達もどうにかしないとだしな」
そこまで言って、光輝は王の墓を前に動かないでいる空夜と風華に視線をやる。
「俺は先に戻るから、姉上はあの二人と戻ってくればいいさ」
「・・・うん」
踵を返し、光輝が去っていく。花音は彼を見送ると、二人の所へ足を向けた。
風夜の暴走騒ぎから一夜明け、光輝達が後始末に追われている間、花音は王が使っていた部屋に来ていた。
「えっと・・・、これのことかな?」
王の少ない荷物から、古びた一冊の本を取り出す。
表紙に何も書かれていないその本は、王から風夜の血について聞いた時に、もしもの時の為と教えられていたものだった。
(何代か前の王と夫婦になった魔族の女性が、自分の血を強く引き継いでしまった子孫に遺したものだって言ってたけど)
そう思いながら、中を確認しようとした時、部屋の扉が開いた。
「ここにいたのか?」
「紫影くん?」
「お前はいいのか?」
「えっ?」
問い掛けられ、なんのことかわからず首を傾げる。
「風の国の王に別れを告げなくていいのか?」
そう言われ、花音は慌てて部屋を飛び出した。
「ありがとうね、光輝」
街の一角。即席とは思えない立派な墓が建てられるのを見ながら、隣にいる光輝に花音は言う。
「いや、姉上が世話になった人だ。このくらいはしないとな。・・・本当なら、見知らぬ土地ではなく、自国で眠りたかっただろうが」
言って、疲れたように溜め息をつく。
彼の目の下には薄くだが隈が出来ていて、騒ぎの後始末の為、休めていないのがわかった。
「大丈夫?少し休んだ方がいいんじゃない?」
「いや、まだやることがあるんだ。あの大勢の兵士達もどうにかしないとだしな」
そこまで言って、光輝は王の墓を前に動かないでいる空夜と風華に視線をやる。
「俺は先に戻るから、姉上はあの二人と戻ってくればいいさ」
「・・・うん」
踵を返し、光輝が去っていく。花音は彼を見送ると、二人の所へ足を向けた。