光の少女Ⅱ【救出編】
「・・・何だよ」
「これ、見て!」
風夜の眼前に本を突き付け、ある部分を指す。
「最果ての森?」
「そう。この森にあるゲートを通って、別世界へ行けば、風夜の中にある魔族の血をどうにか出来るかもしれないって」
「・・・でも、これは何百年も昔に書かれたものだろ?試したことだってないのに」
「それは、今まではその必要がなかったからでしょ?行ってみる価値はあるよ」
「・・・」
「行くだけ、行ってみたらどうだ?」
その時、聞こえてきた声に花音と風夜が見ると、光輝の姿があった。
「行ってみろって、お前・・・」
驚いたように風夜が目を見開いて、近付いてくる光輝を見る。
「姉上も行くんだろ?なら、これを」
花音の前に来た光輝が、今まで彼が所持していた光の宝珠を差し出してくる。
「ありがとう、光輝」
「って、ちょっと待て」
宝珠を受け取り、笑って礼を言っていると、風夜が声を上げた。
「何?」
「ん?」
「俺が行くのはともかく、どうして花音がついてくる前提で話してるんだ?」
「だって、ほっとけないし」
「今のお前を見たら、こう言うのはわかってたしな。・・・それに、俺もほっとけないんだよ」
後半だけ声が小さくなり、照れ臭そうに光輝が顔を逸らせる。
そんな彼に、花音は思わず笑ってしまった。