光の少女Ⅱ【救出編】
牢へ入れられてから、どのくらい時間が経ったのか。

牢番が食事といって持ってきた人数分には足りないパンと冷たいスープをわけあって食べ、身体を休めていた花音は、何かに服を引っ張られて目を開けた。


「ピィ、ピィ!」


おはようというように鳴く白亜を撫でて、身体を起こすと、牢に近付く足音が
聞こえてきた。


「・・・起きてたか?」


近付いてきていたのは紫影で、彼は持ってきていた鍵で牢を開けた。


「紫影くん?今、何時?」

「朝の四時だ。まだ早いが、今しかない」


その言葉にはっきりと目が覚める。


「今しかって」

「お前達を捕まえたってことで、上層部が此方へ一度来ることになった。夜中にはほとんどの陰の一族が迎えにいったが、昼には戻ってくる。だから」

「今しかないか」


紫影と花音の会話に風夜の声が入ってくる。

視線を動かすと、花音と紫影が話していたからか、それともただ気配で起きたのか、全員が目を覚ましていた。
< 48 / 130 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop