光の少女Ⅱ【救出編】

牢を抜け、まだ朝早く人の気配のない街中を抜けると、雷の国との境である川が見えてきた。


(あの川を越えたら、取り敢えずは・・・)

「!皆、止まって!」


国境の川が見え、安堵した花音は聞こえてきた星夢の声に慌てて足を止める。

その花音達の前の地面が、先へ行かせないというように割れる。


「・・・悪いけど、逃がすわけにはいかないんだ。戻ってもらおうか」

「火焔くん!?」


聞こえてきた声に振り返ると、火焔、水蓮、大樹とそれぞれの国の兵士達が数人いた。


「違う、俺は・・・」


夜天達の視線が向けられ、紫影がそう声を上げる。


「そう。彼のせいではないわ。ただ、朝早くからこそこそと牢へ行く姿を見て、不思議に思った兵士が教えてくれたの」

「悪いことはいわないよ。もう一度、牢へこのまま入ってくれれば、俺達もこのことはなかったことにする」


大樹の言葉に、雷牙が鼻を鳴らした。


「それで戻ってどうしろって?俺達をどうするか決めるのは、どうせ陰の一族の上層部。ろくでもない目に合うに決まってる。なのに、じっとしていろって?」

「それにお前達は陰の一族についた。俺達と道を違えた今、俺達が大人しくいうことを聞くと思うか?」


雷牙と夜天の言葉に、その場の空気が張り詰める。


「いいのか?抵抗するなら、此方もそれなりの対応をすることになるぞ」


火焔の言葉で、兵士達が身構える。


「ねぇ、刹那くんの力じゃどうにかならないの?」

「無理だ。動きを止めるにも、何処かに飛ぶにも、人数が多い分時間が掛かる。こんな急には・・・」

「強行突破しかないか」


美咲に聞かれ、刹那が首を横に振ったのを見て、凍矢が呟く。

その時、それまでずっと黙っていた風夜が、花音達の前に出て口を開いた。
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