光の少女Ⅱ【救出編】

「火焔」


段々と水蒸気が収まり視界がよくなる中、風夜の声が聞こえ、その姿が見えてくる。

所々に火傷は負ってはいるものの、しっかりと立っている風夜に、火焔が目を見開く。


「お前・・・!?」

「何故、相性がよくないお前を指名したか、まだ誰もわかってないみたいだな。・・・まぁ、俺も此処が水の国で、追い付かれた場所が此処でなければ、賭けを持ち出すこともなかっただろうけど」

「!・・・そういうことか!」

「何、何?凍矢くん、わかったの?」


何かに気付いたらしい凍矢に、美咲が声を上げた。


「ああ。これも相性の問題だ。火は氷と草に強いが、水に弱いからな」

「でも、水を使えるのは水蓮だけだし、火焔とは味方だろ」

「そう。だから、条件をつけた。一対一だってな」


夜天に答えるように言いながら、風夜が川の方へ手を向ける。


「風には、こういう使い方も出来る」


言葉と共に、再び水が上空へと巻きあげられる。


「さっきまでは、防戦ばかり立ったからな。望み通り、攻めに転じてやるよ!」

「・・・ぅぐ・・・」


言葉通りに、風を使って巻き上げた水を火焔に向け、その渦に火焔を閉じ込める。


「そのまま沈め!」


そう言い、渦を川へ叩き付けると、中に閉じ込められた火焔も川へとのまれていった。
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