光の少女Ⅱ【救出編】


「此処が、陰の一族の宝珠がある場所だ」


風夜達の反対を押しきって、紫影と共にきた場所は、暗い遺跡だった。


「これが、陰の宝珠だ」


紫影がそう言った時、幾つかの足音が聞こえた。


「紫影、その子を一人にさせたのはいいけど、陰の一族の宝珠の場所をばらすのはよくないと思うわよ」

「!!」


その声に振り返ると、聖と何度か襲ってきた女、そして一度だけまだ風の国にいた時に見たことがあった男がいた。


「紫影・・・くん・・・」

「花音・・・」


罠だったのかという思いと、信じたい気持ちがごちゃまぜになって紫影を見ると、彼も花音を見ていた。


「必要なんだろ。持っていけ」

「えっ?」


宝珠を渡され、戸惑っている間に紫影は背を向け、腰にあった剣を抜く。


「・・・何のつもりだ?紫影」

「・・・二人は騙されているんだ。その女に」


口を開いた男に紫影はそう返し、女に剣を向けた。


「騙されてる?私達が?」

「そうだ。その女は・・・」


紫影がそこまで言った時、花音は女が薄笑いを浮かべたのを見た。


「ぅぐっ・・・」


女が紫影に向かって、黒い霧のようなものを放ったと同時に彼の身体が倒れこんだ。
< 58 / 130 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop