光の少女Ⅱ【救出編】

「!窮姫様!何を?」

「あら?彼はこの状況で、私に剣を向けたのよ」

「ですが!」

「裏切り者は、始末しなくちゃ」

「うぐあぁ!」

「・・・やめて!」


花音は叫んで、女の力を消し飛ばす。


「ううっ・・・」


倒れている紫影に駆け寄り、前にいる三人を見る。

紫影との関係はわからないが、彼を助けた時に聖がほっとしたように見えた。


「さてと、どうしましょうか?」


聖に窮姫と呼ばれた女が、花音を見て呟いた。


「・・・げろ・・・」


三人が近付いてくるのを見て、どうしようかと考えていると、紫影の声がして、三人の足下から伸びた影が動きを封じた。


「・・・早く・・・逃げろ・・・」

「・・・っ・・・」


刹那から渡された玉を気付かれないように握る。


(使わせてもらうよ)


そう心の中で呟いて、聖達三人を見据える。


(止まれ!)

「「!!」」


花音が念じたと同時に、紫影の力を振り切ろうとしていた聖達の動きが止まった。


「これは、時の一族の!?」

「どうして、花音様が・・・」


聖と男の声が聞こえてきたが、それに構わずもう一度、玉に集中する。


(私と紫影くんを光の街へ!)


そう念じると、玉が光りだし、花音と紫影の身体を包んだ。


「姉上!」

「「「花音!」」」


花音が光の街に戻ると、待っていたらしい風夜達が駆け寄ってきた。


「・・・何かあったのか?」


紫影に肩を貸している花音を見て、風夜が聞いてくる。


「・・・うん。宝珠は手にいれたんだけど」


答えながら、紫影を見る。

限界だったのか、彼の意識はなかった。
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