光の少女Ⅱ【救出編】

「くっ・・・!このっ・・・」

「ふふ、どうしたの?この程度じゃ、私には勝てないわよ?」


窮姫の方はさほど力を入れているようには見えないのに、合わさった剣は拮抗している。


「ぐうぅ!」


それどころか、徐々に風夜側へと押され、押し返そうとする風夜が力を込める。

その一方で、窮姫が剣から片手を離し、その手に力を集めるのを見て、花音は声を上げた。


「!!・・・風夜、離れて!」

「!?・・・ぐああぁ!!」


窮姫の手に集まった力が風夜の腹へ叩きこまれ、勢いよくその身体が吹っ飛ぶ。

背から地へ落ちても、勢いがありすぎて、そのまま滑っていった。


「風夜!!」

「ピィ、ピイィ!」


漸く止まった風夜に、花音は駆け寄る。


「大丈夫!?」

「っ!・・・ああ、何とかな」

「ふふ、残念ね」

「っ!!」


剣を支えに身体を起こしている風夜が窮姫を睨み付ける。


「悔しい?私に、手も足も出なくて・・・」


窮姫から視線を外した風夜が彼女から視線を逸らす。

彼女が創った空間の壁を見て何かを考えている風夜に、花音は彼の肩を掴んだ。


「駄目だよ、無理しないで。・・・大丈夫。きっと誰か気付いてくれる」

「どうかしらね。仮に気付いたとしても」


そこまで言って、窮姫の言葉が止まる。

それと同時に、空間が何かの衝撃で揺れ、窮姫に向かって何かが飛んできた。
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