バンジージャンプ

昼

昼

ひよこの事を考えていた。
初めて会話したのは夏のある日の事。

百貨店の社員食堂でダンス？をしている謎の人間。それがひよこだった。

「なに、してるんですか？」
「ビリーよ！あなたもやる？」
「結構です。」

それからダイエットの仕方やらなんやらの話を仕事が終わってから、翌日お互い休みだったので朝までファミレスで話し続けた。

懐かしいなぁ。先程ひよこが投げたキーホルダーをながめていた。
これは、別れをおしむ彼女の思いやりなんだ。一は何があってもひよこは自分を愛してるんだと信じた。突然、

「いち〜！」

大きな声で呼ばれた。

警察だった。なんでここが？

「ばればれだぞ〜。ひよこさんがお前に発信機をつけたって通報してくれたからなぁ。」

前言撤回。あのクソアマ！地面にキーホルダーを叩きつけた。プシュー。煙りがでた。

これかよ！

完璧に包囲されていた。俺の頼りはイナズマ、お前だけだ。わけのわからん法律つくりやがって。聞いてないぞ！

マイクで叫び声が聞こえた。

「ごほん。あ、あ。入ってるね？え〜、一。コーポレーション無断遅刻法違反の容疑、及び銃刀法違反、さらに公務執行妨害の現行犯できみは捕まります。完璧に包囲されていますよ〜。投降しなさ〜い」

なんてまぬけな説得だ。いこうぜイナズマ。捕まる時は一緒。中央突破だ！

バルン！

エンジンをかけた。

ブォーー！

前に人が立ちはだかる。

フルスロットルで突っ込んだ。

目の前にひよこがでてきた！

泣いていた。一は車体を横に倒して激しく横転した。

ひよこが笑った。

「ごめんね、一君♪」

目薬をぽんと放りすてたのが見えた

もう遅刻と恋愛はしないと誓った。