誰よりも、君が好き
「っ、!!!」
突然のことに驚き、私は隼人くんの体を突き返した。
「…な、んで…こんな…」
涙で滲んでいく隼人くんの顔を見つめて、震える声を絞り出す。
隼人くんは、辛そうな表情をしていた。
そして
「…ごめん
…やっぱり、俺は悠が好きだよ」
「え…」
「また明日ね」
「ちょっと、待って…」
鞄をもって教室から出ていく隼人くんを追いかけようとするけど、体にまるで力が入ってくれない。
…なんで、なんで?
ぐるぐる回るさっきの記憶。
まだ震えている手で唇を押さえると、感触がよみがえってくる。
「は、やと…くん?」
ヒラリと落ちた紙切れを拾う気力すら残っていなくて。
一人になった教室で、私はしばらくぼうっとしたままだった。