誰よりも、君が好き
イケメン君と走り出してまだわずか10秒。
それでも、私の足が引きずられるほどに疲れていて
私がどれほどに体力がないかがよくわかる。
でも、急いでいるイケメン君に
「待って」
なんて言葉は言いづらい。
だから、黙ったまま息を切らせて、
半ば無理やり足を動かす。
すると
イケメン君は急にピタッと止まり私の方を振り返った。
そして、こう言うんだ。
「疲れたなら、無理しなくていいんだ。
ちゃんと言っていいんだよ。
…ゆっくり、行こうか。」
彼はどこまで優しいのだろう。
初対面の私にここまで優しくしてくれる人なんて、
今まで会ったことがない。
そんな言葉に、
私はドキドキが止まらなくなる。