誰よりも、君が好き



それにはどうにも動揺を隠せない。




「あ…た、匠くんからメール!!」




だって、昨日の隼人くんとのことを考えていた時だったから。



あかりに隠しているのは辛いけど、きっとこのことを知ったらあかりは傷つく。

だから、絶対。
バレたりしたらいけないんだよ…





私の考えていることを知らないあかりは、"匠くんからのメール"に興味がわいたらしく、私の携帯を覗いてくる。





「なんて書いてあったのー?」



「今日は、お昼無理みたい」



「じゃあ、久しぶりに三人で食べれるね!!」






あかりは私に満面の笑みを向ける。




その、純粋で優しいあかりの笑顔に

嘘をつくのが辛くなる。
苦しくなる。


私はそれに、苦笑いで曖昧な返事をした。






嘘ついて


なにも言えないで、ごめんね…







その時調度チャイムがなって、担任の先生が教室に入ってきてあかりも自分の席へと戻る。


それに、私は胸を撫で下ろす。



いつもは空気の読めないチャイムのタイミングにも、今日ばかりは感謝した。






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