誰よりも、君が好き
コクりと頷くと、
本当にゆっくり歩く私の横を、彼は歩いてくれる。
嬉しくて、その優しさにときめく。
結局入学式には10分近く遅れて、
着いたのは調度、校長先生が話しているところだった。
入学式が終わってすぐに、
二人合わせて怒られちゃったけど
隣で笑いながら先生に謝っているイケメン君の姿を見たら、
私も同じようにして謝った。
すると、隣の君は私の方を向いてニコッと微笑みかけてくれた。
…また会いたいな。
そう、思う。
「今日は、本当にありがとう!!」
説教が終わってから、イケメン君にそう言った。
「こちらこそ。
意外と楽しかったし。」
そして、私は先ほどまで聞けていなかったことを聞いてみる。
「…名前を、教えてもらえませんか?」
君は、こう言った。
「結城匠だよ。
そっちは?」
「花咲、悠。」
「じゃあ、花咲さん。またね」
私と君の出会いはここ。
またねって言葉、私は信じてたよ。
君のこと、好きになったから。
でも、君は違ったんだね。
そんなことは、このときは知らなかった。