誰よりも、君が好き
俺は荷物を持ち、あいつの教室に向かう。
「おい、いるか―――」
俺の声は、誰もいない、静かな教室によく響いた。
教室の窓は開いたままで、そこから吹き込むやわらかい風にあたり、ヒラヒラと落ちていく無数の紙。
俺は教室に入り、その中の一枚を手にした。
「終わったら職員室 サボるな」
それにはそう大きく書かれている。
それが先生の文字であることはすぐに予想できた。
俺は、紙の乗った机の周囲を見回した。
すると、他にも一枚。
なにか文字が書いてある紙を見つけた。
落ちているそれを拾い上げると、そこにはこう書いてあった。
「匠くんの好きな人→夏希さん」
――俺の心臓は、嫌な音をたてる。