誰よりも、君が好き
…また、これだ。
誰がこれを知っている?
誰なら、夏希を知っている?
…まさか、あいつか?
そんなわけない。
だって、俺は一度も夏希の話なんて―
おさまらない動機を無理やり押し込める。
考えても仕方ない。
ただ、俺の頭の中に巡る、夏希の顔。
“好きな人→夏希さん”
誰が書いたかすら分からないそれは、俺の心に重くのしかかる。
なにか堅いもので頭を殴られたような痛み。
…まただ。また………
「…っ夏希………」
ふと口にしたその言葉は
誰かに届くことはなく
静かな空気に呑み込まれるように消えていった。