誰よりも、君が好き
俺は結局、そのまま帰った。
あいつ、もう帰ってたのかな。
俺になにも言わずに帰るなんて、今まで一度も無かったのに。
不安な気持ちを隠して、俺は次の日学校に来た。
朝、学校に着いた途端に前から先生に声をかけられた。
「今日のお昼、あいてるよな!?」
「あー、いや、お昼はちょっと」
「お願いがあるんだけどさ!」
…人の話聞く気ねぇだろ
内心そんなことを思うが、先生の前では普通に接する。
「……っていうことなんだけどね。
お昼、頼まれてくれないかな?」
手を顔の前で合わせる教師に、心のなかで思わず舌打ちをする。
でも、あくまでも今の俺は、“優等生で王子様”な俺だから。
「分かりました。」
ニッコリと自然な笑顔をつくり、俺はその頼みを引き受ける。
…折角、あいつと会える時間なのに。