誰よりも、君が好き
ガタッ
力が入らなくなった俺の手から滑り落ちた鞄。
扉に当たって音を立てたそれに、二人は同時に俺の方を向いた。
あいつと目が合うとハッとして、俺は思わずその場から駆け出した。
俺の足は自然と屋上に向いた。
その間じゅう、俺は思った。
――なんで俺はこんなにも傷ついているのだろうか。
――なんで俺は胸が苦しいのだろうか。
それは――あいつが、好きだから。
分かっていたことじゃないか。
俺は恋なんて、もうしないってあの時誓った。
それなのに。
今までの俺は、馬鹿でどうしようもないやつだよ