誰よりも、君が好き
気づいたことに気づかれたくなくて
俺は俯いて動かない。
お願いだから、こっちにこないでくれよ……
けど、そんな俺の感情とは裏腹に
あいつが少しずつ俺に近づいてくるのを感じる。
そして、その足音は俺の目の前で止まった。
俺の影に重なるようにして立っている。
「匠くん」
あいつの声は震えていた。
平常心を保とうとしているけどできていない。
混乱していてどうしていいか分からない。
…そういったところだろうか
「ねぇ、気づいてるんでしょ?
こっち、向いてよ。」
そして、お前の手が俺の肩に触れそうになったとき。
「触るなよ」
そう冷たくいい放ち、俺は前の手を振り払う。