誰よりも、君が好き
「……悠?」
…返事はない。
「悠、なあ、起きろ」
体を揺するけど、目を覚まさない。
俺はそのとき、あの日のような感覚がした。
――大切なひとを失うのではないかという、恐怖。
「…悠っ」
俺は目の前のあいつの体を抱えあげ、保健室へ急いだ。
ガラッ
「すみませんっ
こいつ、廊下で倒れていて……」
慌てすぎて、口調を直すことだって忘れた。
そんなことを気にしている余裕はまるでなくて。
保険医は少し様子を見てこう言う。
「…少し意識を失っているだけよ。
すぐ目を醒ますだろうから、安心して。」