誰よりも、君が好き
「さっきの、入学式で怒られてたやつじゃん」
…は?
第一声がそれって、どういうこと…?
「名前、なんていうの?」
私が若干イラついていることにもまるで気づかない彼は、
にかっと歯を見せて笑った。
「花崎悠。あなたは?」
さっきから何度も言っている自分の名前に、
もう自己紹介にはなれた。
「俺は…河村隼人。
よろしくな、悠!!」
ドクンッ
変わらない笑顔で、私に手を差し出す河村くん。
人懐っこい表情とは違って、
低くて、かっこいい声。
私の心臓が、脈打った。
ドクンドクンって、一定のリズムで奏でる音は、
なんだか恥ずかしくて。
「うん…よろしくね!!河村くん。」
それを誤魔化すように、
私は差し出された彼の手を握った。