誰よりも、君が好き
「そ、そんなの急にできないよっ」
先ほど立て直したいすは、私がもう一度立った影響でガタリと揺れる。
心の準備とか、心の準備とかっ、あとは心の準備とか!!
…いろいろ、あるじゃん!?
しかし、それにはあかりも里奈も呆れた様子だ。
え、なんで!?
「悠ー、そんなんじゃいつまで経っても結城くんと“赤の他人”のままだよー??」
「そうそう。 意外と気負う必要なんてないかもよー?」
…そうやって、軽くいうかもしれないけど。
言葉だけなら、簡単なんだ。
今の匠くんには嫌われてる。
それに、匠くんは…好きな人がいる。
詳しくは分からないけれど、夏希っていう名前の、女の子。
だから………
「私には、無理だよ。 そんな勇気、ないよ。」
諦めたように眉を下げて笑う。
こうして無理にでも笑っていないと、ふいに涙が溢れそうになるんだ。