誰よりも、君が好き





扉は少しだけ開かれていて。

それに気づいた私は、そっと教室の中を覗いてみた。






「えっ……」







驚きで、小さな声が出る。


慌てて口を閉じるけど、中には聞こえなかったみたい。








驚くよ。


だって




中に見えたのは匠くんなんだもん。








でも、それだけじゃない。









顔を伏せていても、分かる。



そこの机で、ひとり座っている君は、匠くんなんだって。






…そんな私は結構重症だなぁ、なんて思う。







緊張と不思議な感覚に包まれてドキドキする私。










そして、私が教室の前に立って数分が経った時だ。




扉の隙間をそのままに、私は自分の膝を抱え込むようにして座っていた。








すると






「………――んで」






中から小さな、声がした。









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