誰よりも、君が好き





その声にすぐに反応して、パッと耳を教室の中に向けて、意識を集中させる。






「……なんで、だよ」






匠くんの、低いけど、落ち着いていて、私のすごく、好きな声。



それはどこか震えているようで、苦しそうだ。









「なんで、こんな……」







よく耳を澄ましてみると



――――鼻を、すする音




君は今、泣いているんだ。








ドクンと、大きく脈打つ心臓。



抑えようとしても抑えられない。




……分からない、よ








君は、続けて言葉を発する。








< 233 / 275 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop