誰よりも、君が好き










「…な、つき………?」







大人たちが、うるさい。





耳鳴りは、止まない












夏希のもとまで、必死で辿り着くと


夏希はまだ意識があるのか、目があった気がした













「夏希―――」







彼女の手を、ぎゅっと、強く握ると


それに応えるようにして、きゅっと、とても弱い力で握り返される。















「た、くみ?」










滑り落ちていく涙は、血に呑まれて見えなくなる。











「なつきっ……!! なつ、き………」











泣いて、君に聞こえるように


大きな声で、かきけされないように













< 251 / 275 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop