誰よりも、君が好き
そんな俺とは対照的に
夏希はどこか、満足そうな顔をしていた
「たくみ」
聞こえた、小さな声を聞き逃さないように
「…たくみが無事で、よかった………」
夏希は確かにそう言った。
待てよ、まだ俺は、お前に言いたいことがたくさんあるんだ
逝かないでくれ……
お願いだから………!!
「―――――だいすき」
響き渡るサイレンの音も
騒ぎ立てる民衆の声も
全部、全部、時が止まったように聞こえなくなって
ふと気づくと、夏希の手は俺の手からこぼれ落ちた。