誰よりも、君が好き
好きな人のために、自らを犠牲にできるような
…そんな二人を、羨ましく思ってしまった私はきっと心の汚いやつだね。
「…っでも、俺が守って、やれなかった……」
はぁ~
もう、呆れるしかないね?
私がいうのもあれだけど、それだけ思いあってるのに、いつまでそうやってウジウジするつもりだよ。
「匠くんが夏希さんを庇ったら、今度は夏希さんが今の匠くんみたいになっちゃってるかもね
…あーあ、なにそれ無限ループじゃん
これはもう、今生きてる匠くんが折れるしかないね。 ……夏希さんの分の命も背負っちゃってるわけだから、これからもっと前向きに生きていくしか、ないよね?」
匠くんの顔を覗きこんでみれば、ずっと苦しそうだったさっきまで表情とは、違う気がした。
「…夏希の、分も、生きる……」
そうやって呟いた匠くんは、やっぱりちょっと、変わろうとしてるのかなって思った。
でもね匠くん。
話はこれだけで終わりじゃないのです。
「もうひとつ、匠くんに言いたいことがあります。」
私は人差し指を立てて、ニコッと笑う。