誰よりも、君が好き
ドクンドクンと高鳴る鼓動。
…聞こえる。
匠くんの、心臓の音。
「なんで、抱き締めたりなんか…」
「もう、遅いって分かってる」
匠くんは、私の言葉を遮るようにして言う。
「告白は断ったし 下僕になんかしたし 何度も突き放して、傷つけた。
…本当に、悪かった」
耳元で聞こえる君の声。
いつもより緊張しているみたい。
「何度も、後悔した。 なんであの時言わなかったのか、なんでお前のことを傷つけたりしたのか。
…俺は、お前みたいに言葉にするのは慣れてねぇし そもそも、いつもうるさくて、俺の回りうろちょろしやがって 俺の言ったことも全然守んねぇお前の、どこいいのかさっぱりだ」
「…それ、私のことだよね
なに言いたいのか、さっぱりなんだけど……」
「…っでも、そんなお前を ……何度も可愛いと思った。 抱き締めたいと思った。 俺のものにしたいと思った。」
君の心の音、聞こえる。
…私と同じくらい、はやいね。