誰よりも、君が好き
「え……」
言葉が、なにも出てこない。
優しい、結城くん。
それだけを知っていた私だから。
こんなにも怖い雰囲気を纏っているなんて…
そう思っても、私は抱きしめた彼の腕をがっしりと掴んで離さなかった。
「嫌だ。離さない!!」
「やめろっつってんじゃん。
分かんないの?お前。」
低い声の彼にも堪える。
「…私、結城くんが優しいの知ってるよ!!
そんな低い声で脅そうとしても、無駄なんだから!!
絶対、離さない。
私はどんな結城くんも、好きだから。」
勇気をだして振り絞るようにだしたその声は、
少しだけ震えていた。
…やっぱり、ちょっと怖い、かな。
すると。
「……思い出した。」
彼の、小さく呟いた声が聞こえた。