誰よりも、君が好き



「ねぇ」


「なに」


「ありがとう」


「それもう何回も聞いたから」


「…そっか」





今私は家に向かっている。



けど、それはいつもとはちがくて、隣には匠くんがいる。




お昼はずっと前を歩いていたのに、今は私に合わせてゆっくりと隣を歩いてくれている。





嬉しくて、照れ臭くて、なんだか上手く話すこともできない。





…こんなに尽くしてもらってて、私は本当に匠くんにとって”下僕”なのかな。



不思議な気分。





…まぁ、帰りは始めから今も、匠くんの荷物を持っているのは私なんだけど。







「なんかよう?」



「えっ」


「いや、だってずっとこっち見てるから」






そ、そんなに見てたのかなっ!?


…でも、なんか匠くんがここまでしてくれるのが以外で。




…じゃなくて





「私はただ、匠くんに見とれてただけだよっ」







< 71 / 275 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop