誰よりも、君が好き



「ん…じゃそろそろ」




匠くんが私に背中を向けて帰ろうとした。




って、ちょっと!!





「匠くん!!」





ちょっとだけ走って、制服の裾をくいっと引っ張った。




どうやら匠くんは、それで少し体勢を崩してしまったようで、私の方へよろける。





「だ、大丈夫…?」




わたわたしながら匠くんの身体を支える。






すると、匠くんが急にフッと屈んだ。



なんだろう…?




顔を覗きこませると、また急に、匠くんは顔を上げた。





「う、わ!!」



あまりの顔の近さに思わずのけ反る。



匠くんは一瞬ムッとした顔をして





「なに?」



「あっ、バッグ忘れてるよ」





自分の手元に残っている重たい鞄を匠くんの目の前まで持ち上げて見せた。







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