誰よりも、君が好き



駆け足で階段を登っていくと、屋上に着くまでに、私はヘトヘトになってしまった。




くそぅ…

体力づくりでもするか…!?





そんなことを思いながら、私は屋上の重たい扉を開ける。





ギギィィィ





金属の擦れる、嫌な音を聞き流して、広い屋上を見渡した。




匠くん、まだ来てないのかな…?




とりあえず中に入り、隅っこなどにいないかくまなく探してみる。





すると、匠くんは屋上の影に隠れ、顔の上に本を乗っけたまま寝転がっていた。





「匠くーん、悠ですー。

 起きてますかー?」





なんだか緊張してしまい、敬語混じりの言葉が出てきた。



でも、匠くんの反応はない。




寝てるのかな、と思い、私は匠くんの顔を隠していた本を退けてみた。





「…たくみ、くん?」





そのときの匠くんの表情は、苦しそうで。


今にも泣き出してしまいそうなほど、儚いものだった。







…そして、極めつけはこれ。







< 82 / 275 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop