誰よりも、君が好き



「…っ夏希」




消えてしまいそうなその声は、確かに"夏希"と言っていた。





…誰?

まさか、匠くんの好きな人…?




つい嫌な想像ばかりが働いてしまう。






少しの間呆然としていると、匠くんがうっすらと目を開けたのが見えた。





「なんだ、もう来てたの?

 起こしてくれれば良かったのに。」





寝起きだからか、少しだけ不機嫌そうな声がする。




「ご、ごめん…」



さっきの言葉を思いだし、私はパッと下を向く。


気になるけど、きっと聞かない方がいいことなんだろうなって。

なんとなく分かるじゃん?





「なんかあったの?」



結局、そんな私の行動は、全て匠くんにはお見通しなわけだけど。







「なんでもない…から。」





全然上手く隠せてないのなんて分かってるけど、動揺しててどのみち上手い具合の言い訳なんて見つからないだろう。



私がそう言うと、匠くんは怪しそうに私のことを一瞥してから、私にこう聞いてきた。






「なあ、俺の昼飯は?」







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