誰よりも、君が好き
でも、匠くんのコメントには続きがあった。
「でも、なんか味薄くない?俺はもっと濃い方が好み。
玉子焼きも甘いのじゃないと嫌。」
「私が作ったんだから、私好みになってるもん。
そんくらいは我慢してよ。」
思っていた以上に匠くんはワガママで、欲を全部私にぶつけてくる。
「第一、今日だけなんだから。
明日からはちゃんと、購買で買っといてあげるよ。」
ため息混じりにそう言うと、匠くんがちょっと考えるようにしてからこう言った。
「…じゃあ、これから毎日、俺のぶんの弁当も作ってこいよ。」
「いや、でも毎日は流石に…」
「は?
…これは命令だから。
明日から、ちゃんと持ってこいよ?」
私の言葉も最後まで聞かずに、匠くんは勝手に話を進めていく。
こ、困るよー!!
私だって、購買で買いたいときとかあるもん。
毎日つくるなんて、大変だし…
「これからは俺の好みの味で作ってこいよ?
味はもっと濃く、玉子焼きは甘く!!」
「…はーい。」
下僕の私は、やっぱり匠くんに従うしかなくて、不機嫌に返事をする。
…無理だなんて、言えるわけないじゃない。