少年少女は孤島にて愛を語る
「ねえ…」

これまでとうって変わって弱々しい声が聞こえた
暑さでとうとう幻聴が?
そう思ったがどうやら隣のやかましい女からだったようだ

「なに?」

俺は目を瞑りながら答えた
なるべく体力を温存する事に越したことはない

「あたしら、助かるのかな?」

「さあな、最悪どうにかここで生活もできんだろ」

「バカなの?こんなとこで生活なんて絶対にいや」

俺も嫌だよ
そう思ったが口には出さなかった

沈黙が場を支配する

波の音が一定の間隔を保ちながら耳に入る

自分が遭難者でなければ割と心地良いのではないだろうか

「あんた寝てんじゃないわよ」

「なんだよ、じゃあ何か話せよ」

「あんたと話す事なんてない」

なんなんだよ、そう思いながら目を開け上半身だけを起こす

背中や腕に砂がついているのが少し気になった
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