碧空にキスを
掃除を終えた私たちはやっと解放され、帰宅の準備をしていた。
「逢は…一緒に帰れる?」
「ごめん、無理」
冬麻にそう伝えるとローファーを履き急いで門を出た。
やばい。
待たせてる。
さっきから携帯に電話をしているが繋がらず、とりあえずは待ち合わせ場所まで行くしかない。
「すみませんっ!」
待ち合わせ場所ーー、駅前の広場。
「ああ、逢ちゃん。あんまり遅いから今日は来ないんだと思ってた」
先輩に呼び出されたのは、2週間前。
ーーー私何かしたっけ?
始めはそんなことを思っていた。
「俺と付き合ってください」
ーーーえ?
ーーー私?
綾斗先輩は陸上部の部長でイケメンで背も高くて優しくて。
つまりは女の子がみんなキャーキャー言って部活を見にくるような、1週間に1通はラブレターをもらうような、そんな人なのだ。
当然私とは接点がない。