野球馬鹿に惚れた馬鹿
時を遡(さかのぼ)って
入学式
あたしは憧れの高校の門に立っていた。
そう。
今日は待ちに待った入学式なのだ!
あたしがこの日のために
毎日何時間勉強したことか…。
ほろりと涙を浮かべる。
ゴクリ、と喉を鳴らした。
だってさ、あんなに努力したんだから、緊張するの、当たり前じゃない!
そんな高校に足を踏み入れる。
坂下千衣、いざ!出陣!
―ゴン
「いったぁーいっ!!」
あたしはその場にしゃがみ込んだ。
うぅー。
一体何なのよー。
神様はあたしを高校に入らせたくないのか…。
本気でそんなことを思ってしまった。
だって!
あと一秒で学校に入れたのに、なんか頭に当たるし、それ硬いし。
生きてるのだって、キセキだよ!
「大丈夫ですかー?」
しゃがみ込んで頭を抱えるあたしの頭上から声がした。
こいつか!!
あたしの邪魔するのは!!