野球馬鹿に惚れた馬鹿
「うん!」
斎藤がものすごく笑顔になった。
つられて、あたしもクスクス笑った。
「な、なんだよ」
あれ?気のせいかな?
ちょっと顔赤くない?
ま、大丈夫でしょ。
「斎藤、野球大好きなんだなーって思ってさっ!」
あ、また。
また赤くなった。
斎藤は片手で口の辺りを隠している。
「好きに決まってんだろ!………じゃ、よろしく!」
そういって帰ろうとした斎藤の服のえりの部分を思いきり掴んだ。
その直後うぇっと苦しそうな声。
そんなのもお構いなしのあたし。
「な、なんだよ。えり掴むな。痛い。」
「野球と仕事は別でしょ?」
あたしはニッコリと意味ありげな顔をした。
「わかった。なんか奢ります。」
よしっ!
それでこそ、斎藤。
「しょうがないなあ」
そういうと
「サンキュっ」
って満面の笑みで走って帰っていった。
本当に野球、好きなんだね。