野球馬鹿に惚れた馬鹿


「うん!」



斎藤がものすごく笑顔になった。

つられて、あたしもクスクス笑った。



「な、なんだよ」



あれ?気のせいかな?
ちょっと顔赤くない?

ま、大丈夫でしょ。



「斎藤、野球大好きなんだなーって思ってさっ!」



あ、また。
また赤くなった。

斎藤は片手で口の辺りを隠している。



「好きに決まってんだろ!………じゃ、よろしく!」



そういって帰ろうとした斎藤の服のえりの部分を思いきり掴んだ。

その直後うぇっと苦しそうな声。

そんなのもお構いなしのあたし。



「な、なんだよ。えり掴むな。痛い。」

「野球と仕事は別でしょ?」



あたしはニッコリと意味ありげな顔をした。



「わかった。なんか奢ります。」



よしっ!
それでこそ、斎藤。



「しょうがないなあ」



そういうと



「サンキュっ」



って満面の笑みで走って帰っていった。


本当に野球、好きなんだね。
< 3 / 26 >

この作品をシェア

pagetop