あの頃のキミは

つぐみと廊下を歩いてると
後ろからキャピキャピした声が聞こえた。

振り向くと巻いた髪をふわふわさせた満里奈ちゃんがいた。
これから体育の授業らしく、手にはジャージの入った手提げがにぎられている。

「永井さん…だよね?皆見くんと仲良いの?」

少しピリッとした空気を感じる。

「えっと……幼馴染みっていうか…小さい頃の知り合いっていうか…」

そう言うと、さっきまでのはりつめた空気は無くなっていた。

「ふぅーん。今日お休みみたいだけど、体調悪いの?」

下ろした髪を耳にかけながら、質問してくる。

「お家の事情で…」

「そっか♡なら明日はくるかなぁ?ありがとー」

にっこりと笑って更衣室のある方へと走って行ってしまった。


…な…なんだったんだろ…


「なぁーにが"そっか♡"よ!!いちいち、ブリブリキャピキャピしちゃって!!」

私のとなりでは、つぐみが地団駄を踏んでいた。

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