あの頃のキミは
「多分、柴咲と歩いてたんだと思う。
ふたりしてジャージ着てたし」
確かに、中学の頃からつぐみとは同じ部活だったから、ジャージ姿で一緒に歩いていてもうなずける。
「…凪くんは、すぐ私だってわかったの…?」
「そりゃぁ…俺は忘れたことなかったし」
「う…ごめん…」
私が気まずそうに謝ると凪くんがあわてて否定した。
「いや、別に責めてるわけじゃないって。俺がすぐにわかったのは、ポニーテールと…その目の下の連なったホクロのお陰でもあるし」
そう言って親指で目の下に触れる。
凪くんに触れられて、急に心臓が跳び跳ねる。
…やっぱり…
恭介先輩にも同じことされたけど…
ドキドキするのは凪くんだけなんだ…