あの頃のキミは
屋上につくと生暖かい風が髪をゆらす。
気分が悪い。
この生暖かい風も星野の考えてることも。
「…で、何?絵麻に聞かれたらマズイ話って」
「たまたま聞こえちゃったの。柴咲さんと話してるの」
たまたま?
あんな普段人の来ない所で…
「聞こえたんじゃなくて、聞いてたの間違いでしょ?」
「ヤダー、人聞きの悪い!」
わざとらしい態度の星野にイライラが増す。
「聞いてたから何?」
「永井さんの耳にはいったらマズイでしょ?私、黙っててあげるよ。…だから、デートしよ?」
上目遣いをして首をかしげる。
これだから計算高い女は面倒なんだ…
もちろん絵麻の耳にはいれたくない。