あの頃のキミは
教科書に載っている問題を解き終わった所で、つぐみが「電話だー」と言ってスマホを持って席を立った。
沈黙…。
冬夜くんは、凪くんから何か聞いているのだろうか…満里奈ちゃんの事とか…
聞きたいけど、、、怖くて聞けない。
あれこれ考えていると先に口を開いたのは
冬夜くんだった。
「なぁ」
「うん?」
「永井がさ、いま凪早との事でどんな事に悩んでいるのかはわかんねぇんだけどさ…でもこれだけは言える」
冬夜くんがこちらを真剣に見つめる。
「凪早は永井の事、大事に考えて行動してるってこと。俺はさ、凪早と一緒に行動する事多いし、その目線で物事を見る事も多くて。…その視線の先には、やっぱり永井がいるんだよ」
「…冬夜くん…」
やっぱり冬夜くんは周りをよく見ている。
凪くんが、私の事を考えてくれているという事に心がじんわりと温かくなった。