あの頃のキミは
「あれー?皆見くんっ?まだ残ってたんだ〜」

頭に響く声の主、それは今1番会いたくない星野満里奈だった。

その言葉そっくりそのまま返してやりたい。

「てゆうか、それスマホじゃんっ!もってたなら番号教えてよ〜!」

そう言いながら教室に入ってくる。

「悪いけど、近しい人にしか教えてないんだ」

これは嘘じゃない。
が、星野も引き下がらない。

「でも私たち、一緒にお出かけした仲じゃない?教えてくれてもいいじゃん、秘密の事も知ってるしー」

「…あの1回っていう、約束だったよね?だから受けたんだけど」

そう、だから受けたのだ。
なのに1番見られたくない相手に見られた。

受けた俺も悪い。
だけど、目の前にいる星野に沸々と怒りが湧いてきた。

ジロリと星野を見るとビクッと肩を揺らす。

「な、、なんでそんな顔するのよ、番号位いいじゃない…それに、私たちまだ高校生になったばっかりだよ⁈永井さんだけに目を向けるなんて勿体ないと思う‼︎」

そうなのかもしれない。
でも俺は…

「お前に何がわかる。頼むからもう俺にかまわないでくれ!何を言われたって俺は、星野に目を向けることはない‼︎…絵麻が大切なんだよ…」

星野の瞳が揺れたのがわかった。

「っ、…わかった。もういい…私にそんな事言って、後悔したってしらないから‼︎」

そう言ってバタバタと教室を後にした。

はぁ…

俺は今日何回目かもわからない溜息をついた。

キツイ言い方なんてしたくもなかったが、あれくらい言わないとわかってもらえそうになかったのだ。





翌日学校に行くと、"星野さんが皆見くんに振られていた"という噂が広まっていて…良かったのか悪かったのか…

ただ、噂というのはこんなにも早く広がるのかとゾッとした。
< 163 / 187 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop