あの頃のキミは
「あの…話って…」

満里奈ちゃんが長い髪をなびかせながら、こちらに勢いよく振り向いた。

「私!皆見くんの事、好きだったの‼︎」

急なカミングアウト…
うん、それはわかってたけど…

「ただ、向こうは私になんてこれっぽっちも興味なくて、告白もしてないのに振られたみたいになってて…もう、もやもやするし噂まで広まって許せないの‼︎」

一瞬の沈黙。

「だからあなたにいい事教えてあげる」


クスッ…と笑って満里奈ちゃんは口を開いた。

「あなた…………」

ーーーーー
ーーー


「え…?」

心臓の鼓動が急に早くなり、足に力が入らない。

本当なの?

でもなんでそれを満里奈ちゃんが…

「なんで私がそんな事知ってるのかって顔してるね。なぜなら皆見くんが教えてくれたからよ」

「…なんで…」

なんで私に言うより先に満里奈ちゃんに…

「ごめ…私、行かなきゃ…」

その場から早く立ち去りたくて、震える足をどうにか動かした。

「イライラするのよ!皆見くんも、いつまでも守られているあなたも!…ちょっと聞いてるの⁈…永井さん?」

何も答える気にはなれなかった。

ズキズキと痛む頭を押さえながら教室を後にした。


どうにか体育館まで行き、ドアを開ける。

こちらに気がついたつぐみが走ってきた。
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