あの頃のキミは
制服から着替え夜までの間に、お母さんと病院に行ってきた。
10年前もお世話になっていた病院らしい。
脳の検査や先生からの質問に答えたりして、
特に問題はないとの事。
これで一安心してよさそうだ。
ホッと胸を撫でおろす。
マンションに戻ると、裕太兄も帰ってきていた。
「大丈夫だったか?検査」
「うん。たまに頭痛は起こるかもしれないけど、問題ないって」
「そっか、良かった」
そう言ってクシャッと頭を撫でられる。
普段口は悪いけど、妹思いのいいお兄ちゃんなんだよな…。
「裕太兄も凪くんのうち行く?」
「いや、せっかくだけど俺は約束あるから帰るよ」
「あ、そう?残念………ははーん?彼女?」
「…んだよ、その顔は。そうだよ、今日彼女の誕生日だから」
珍しくちょっと顔が赤い。
「へ〜!裕太兄の彼女さん、会ってみたいな〜…」
「そのうちな…」
これは…ゾッコンだな、裕太兄。…私たちに合わせてくれるって事は、かなり本気って事だよね⁈
1人できゃ〜!ってなっている所でピンポンが鳴った。
…誰だろう?
インターホンの画面を見ると、そこには凪くんの姿があった。