あの頃のキミは
「なんとなくそうかとは思ってたけど…うわー、ショック」
ど…どうしよう…
でも本当にわからない。
「あの、名前…何て…」
「は?名前?教えないよ。
当たり前じゃん。俺、怒ってんだけど。」
と、悲しい表情から一変…
こちらを見下しながら睨まれる。
綺麗な顔をした人が怒るとこんなにも迫力があるのか。
その迫力に思わず後退りする。
「なっ…急にそんなこと言われても…」
「じゃあね」
そう言ってクスッと笑い、男の子は立ち去ってしまった。
なんなのよ…意味がわからない。
桜吹雪の中を歩くその背中を見ながら
今までの記憶をたどってみるが
やはりそれらしき人は思い浮かばなかった。
自分の右手に握られているスーパーの袋の重みにハッとして、急いでエレベーターに乗り込む。